ステップ6
こうした性格上の欠点全部を、取り除いてもらう準備がすべて整った。
ステップ5を終えたのはスポンサーの家、深夜の事でした。ステップ5はお泊まりでフィニッシュを祝う。
終わった後の達成感と共に自分が欠点まみれであることを知る。『君は欠点だらけだね。じゃ。帰る』では淋しいからね。
スボンサーの配慮でした。ありがたいですね。
僕は充分に欠点を取り除いて貰う準備が整っていた気でいたが、一回ここで間を空けて時間を与えられた。
なぜだろう。
ステップ6の準備は、すべて整う必要があった。この先、どんな事が起ころうとも
欠点の全てを取り除きたいと思っているのか。何日も何日もかけて真剣に自分を見つめる期間だった。
僕はスポンサーに話したものの過去に傷つけた女性たちに連絡をして謝りに行くような事が本当に良いのか自問自答した。
わざわざ留学先まで遊びに来た彼女は、その時には僕にとっては過去の人で
彼女、元彼女の3人で美術館に行った記憶はトラウマでしかなかった。
お金持ちの娘さんとは半年ほどデートをしたが本気になられた時点で手を引いてしまった。
後日、カミソリの歯入りの手紙が自宅に届いた。
いつか刺される。またドロドロとした、あの面倒な世界にはまっていくのでは??
完璧に傷つけているし、おそらく埋め合わせの対象だよなー。どうしようかな。。
そんな妄想が拡がって、この
苦しみを分かち合うとスポンサーから当たり前の一言。
『そういう先行き不安を抱えるのも悪い癖だとすると治したいよね。』
自分で勝手に妄想して不安になり未来を見据えたフリをして現在の行動を決めてしまう。
その行動や判断は恐れを避けるためだけの判断で自分自身の判断ではない事が多い。
自分の行動はそれで良いのか?それを確認しながら生活をする必要があった。
先行き不安を抱え込む癖も全て手放す準備は、確かに時間をもらわないと気づけなかった。
そんな時にステップ6の祈りが渡される。
ステップ6の祈り
神さま。いま私にも回復の障害物だと理解できた私の性格上の欠点を、あなたの力で取り除いてもらう準備が出来ました。
これからも自分に正直でいられるように
私に力を与えて下さい。
そして霊的な健康、精神の健康へと私を導いて下さい。
そうか!僕はまた妄想によってハイヤーパワーから離れてしまっていたんだと気づいた。
強迫的ギャンブラーは【今回が人生最後の賭け】などと言い何度も人生最後の賭けをする思考回路になるんですが
自分自身に【今回は勝てるかも】と信じ込ませる為に、とんでもなく妄想の世界を展開するんです。
僕は
先行き不安によって妄想を展開し始め
妄想によってハイヤーパワーから離れる所でした。
ここで、もう一度自身に問われる言葉。
僕は欠点を全て取り除きたいと思っているのか。
答えはYESだった。少なくとも先走って経験した埋め合わせは僕の歪んだ認知に正しい事実を与えてくれた。
僕は全てを手放したい。本気でそう思えた。
当時はビックブックで書かれた数行の文言しか無かったが後年に読んだドロップ・ザ・ロックで
益々ステップ6、7の重要性を認識するのだが、僕は、その時に与えられた日数のおかげで
首に巻かれた重い荷物を下ろす準備が全て整った。
↓参考 ドロップ・ザ・ロック
http://kaifukuken.org/mobile/2014/06/post.html
ステップ7では、ハイヤーパワーの導きで自分の短所〈欠点〉を取り除いて下さいと謙虚に神に求める、とある。
ここで’謙虚’という言葉に引っ掛かる。神様に求めてる時点で謙虚じゃないやん?
12ステップを頑なに拒む人も、必ずここで引っ掛かる。
英語のステップ7では、humbly という言葉が使われている。僕の稚拙な勉強や海外経験から言えば
身分の低い人から高い人へ進言する時に使われたり難病を伝えられた患者の家族が医者に更なる説明を求めたりする際に
申し訳なさそうに聞く際の表現なので謙虚という言葉が気になるなら素直に聞く耳をもってと置き換えると分かるだろうか。
それまでの僕は素直・聞く耳を持つ という通常できそうな事が出来なかったので、そういった意味で
傲慢な態度から謙虚な姿勢へと変われたのであればステップ7はクリアと理解した。
ステップ8
私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。
ステップ9
その人たちやほかの人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。
埋め合わせのリストは
・今すぐ埋め合わせする人
・そのうち埋め合わせする人
・(様々な理由で会えないけど)間接的に埋め合わせする人
に別けて、それぞれに期限を自分で記入してスポンサーに提出した。女性問題は相手のこともあるので
バッサリ切られて間接的に埋め合わせする人のリストへ移動となった。これには驚きました。(少しホッとした)
今すぐ埋め合わせする人のトップは妻なんですが僕は2週間以内に実施と書いて提示したけど
『2週間待つ意味は何?』
と聞かれ、向こうの都合もあるだろうし、、と
動揺して答えたら、期限は【今日】に変えられた。次は源家族、次は会社の人といった具合に埋め合わせを実行する。
自助会で学んだことは今日1日の大事さなのに、僕は埋め合わせに対しては1日を無駄にしようとしていた。
家に帰りタイミングを図って妻に問いかけた。
『真剣な話がしたい。時間が出来次第、膝詰めで話せるよう時間をくれないか』
妻はコーヒーテーブルに座り、聴く姿勢を作ってから、どうぞ。と淡々と言った。
まずは、2人の生活に借金という重荷を背負わせてしまった事。
残業とウソをついて、ほぼ毎日スロットに通っていたこと。
飲み代等ももらったがギャンブルで使い近くのコンビニでビール一本をイッキ飲みして
その場でグルグル廻って酔っ払ったフリをしてたこと。何度もそういうバカな行動で騙したこと。
今まで自分がしてきた謝らねばならない事象を 共有してから謝った。
辛かったのは、それまで全然会話を重ねていないので妻も僕に急に易しい顔も出来ないから
僕に聞き続けるしかなかったみたい。
『それで?あとは?それだけ?』
傷つけた人のリストにツッコむスポンサーのように追い込んでくる。
妻も覚えている限りの事象を僕にぶつけてきたが、それについては謝るしか出来ない【過去は変えられない】
というと、そう言うのも分かるけど、こっちの気が収まらないんだ。と言われる。
そして、それも分かる。。
謝ってもケンカ口調で返される。お互いが落ち着くまで止めてはならないと感じて気がつけば午前2時。
21時から始めた埋め合わせは5時間かかった。
翌週、2人で旅に出た。長野県、善光寺を中心にソバ食べまくりの旅。
ソバの種類で全然味が違うんだね!そんな何気ない会話が嬉しかった。
どこかの寺院に立ち寄った際に砂利道の参道を歩く僕らは隣に並ばず妻が3メートル前を歩き後ろを振り向かずに言った。
『先週、色々謝ってくれたけどさ、10年間ずっとウソをつき続けてスミマセンって聞いてないよ』
『優しくて真面目でウソをつかなさそうな人柄だから結婚したのに、それ自身がウソとなると
私は貴方の何が好きになったのか分からなくなってた。けれど、自助会で頑張って
過去を取り戻そうとしている貴方は、昔、私が好きだった貴方よりも輝いていて
無骨で、弱い人の立場も経験したから得られる人間としての強さも身につけたように思う。
私は、あの頃好きだった貴方の偶像よりも今の貴方の方が、よっぽど好き。許す許さないじゃなく
今後の生活態度で、どういう態度を取るのか決めます』
と言われた。彼女も1週間考えた結果なんだろう。
僕らは埋め合わせを経て新たな関係を築いた。
それは、12ステップを土台とした確固たる日々の積み上げと新たな未来への展望の共有だった。
その関係は8年経った今でも続いている。妻の愛情は、もっぱら子供に向いているが(笑)
こんな僕と居ても幸せと言ってくれる。
源家族、その他の人とも劇的な関係の変化が訪れるんです。
源家族、その他への埋め合わせは後半で綴らせてもらおうと思います。