もう、数えきれない程の人が会社を離れた。

彼らが迎えた現在は過去に置かれたショートカットを選んだ未来だった。

僕は、どの道を選ぶのか。

僕の勤める会社は

日本では投資を抑えた小さな外資系と日系大企業の合弁会社である。

私を含む数十人は外資系からの合弁組で日系の進め方が窮屈で仕方ない。

雰囲気を察してか誰かが名簿を売ったか一時的にリクルートというか

英語で入電がありグローバル企業への転職を勧められた。

当時の部長は給料が上がり転職に成功したり、課長クラスは、成り上がりを目指して転職するも

足を滑らせヒラ社員になったり。

主任クラスは成績が出ず1年持たずに再度転職を余儀なくされた。

10年以上経ち、残ったメンバーは10人ほどか。随分少なくなった。

そんな中、10年共に頑張って日系を受け入れて働いていた仲間がいた。

何度も飲み交わし『この会社を変えていこう!』が彼との合言葉だった。

地方にいる外資出身の仲間の中では信頼のおける若手だった。

そんな彼は我慢に我慢を重ねて、ある日突然離職を決意した。

問題は辞め方だった。

【会社から評価されない】

良く言えば、安定企業にありがちな、全員100点人事評価制度。

悪く言えば、頑張りが反映されない社会主義的な評価制度。

彼はずっと高いパフォーマンスを出していたのに、接待漬けで酒臭い社員というか

営業をしていない社員と同じ評価なのが気に入らなかったようだ。

イヤ気が差したのか、辞めるときには会社と合意しないまま

2ヶ月間の有給を消化してから辞めたいから来週から休みまーす。

とコメントを残し離職した。

慌てて人事部が動き、玉突き事故のように一人の後任が単身赴任で着任することになった。

外資系バカヤローと言っていたと風の噂で聞いた。

僕たち40台半ばは、ファミコン世代。

リセットボタンを押せばやり直しが利くと考えてる世代なのでは?と言われている。

しかし実際には就職氷河期を経て生き残るには迎合しなければならないことも多くあり

社会人生活の中ではリセットボタンは利かない事を知っている人が多いように僕は感じる。

そんな中、彼のリセットボタンは押されてしまった。

あれから数年経ち、僕は彼と再会することが出来た。

彼は、その後二回転職し思い通りの給料が得られないもどかしさに苦しんでいた。

恥を忍んで元の勤め先にも履歴書を送ったらしい。受かるわけがない。

彼がリセットボタンを押したのは、心が弱ってる所に、やはりリクルートの誘いがあったようだった。

それは人材派遣会社に転職した元同僚からの誘い。

給料は一時的に200万ほど落ちるかもしれないが頑張り次第では三倍も四倍も稼げると声かけがあり

転職を決めてしばらく経ったら元同僚は派遣会社を辞めたらしい。

派遣会社の社員は派遣件数と年収のインセンティブだからね、騙されたんちゃう?

僕の言葉に驚きもせず、すでに納得した様子だった。

落ちた給料は戻ることなく、初の職種は上手くいかず辞めてしまう。

恥を忍んで元の勤め先に履歴書を送ったのも給料をまず戻したいという自分勝手な理由だった。

彼のせいで、単身赴任を余儀なくされた人がいる。上司は怒られ、お客さんが混乱していた。

彼は努力を怠りショートカットを選んだ。

ショートカットと言えば聞こえは良いが短絡的な発想に陥っていると言えば分かるだろうか。

カネが欲しいから転職する。

評価が欲しいから転職する。

嫌いだから転職する。

それまで築いたものは壊しても転職する。

そんな理由では上手くいくはずがない。

僕も会社にはウンザリすることもある。

でも、そもそも、肉体的にも精神的にも危うい、こんな人間を

管理職に据えてくれる会社には、まず感謝の気持ちの方がデカイ。

飲み会苦手でした。

肩組まれるのキライでした。

でも、馴れたことで仲良くなって

距離が縮まっていきました。

僕は、会社には染まりたくないけど

染まりきらない僕も受け入れてくれています。

だから、やはり感謝しか無いんです。

僕がリセットボタンを押すときにはリセットしたあとに必ずソフト(カセット)を抜くでしょう。

自分で後始末してから、ゆっくりと道筋を立てて離れます。

目の前にあるショートカットを避けながら

自分がハイヤーパワーと共に自分進むべき道を歩いていこう。

彼の経験がまた僕の道を明るく照らしてくれた。

この道を自信を持って歩いていこう。

そう思える出来事でした。

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