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夜が明け光が差し込み始めた早朝。

僕は温くなったビールをノドに通し独りの空間の広さを痛感していた。

どうして良いのか分からない金曜日の朝。

ふつふつと沸き上がる怒りにも似た感情が僕を支配した。

2LDK は僕にとって広すぎた。

子供のオモチャも妻の服も、ずっと多すぎると思っていた。

無くなったらポッカリと空間が拡がった。

広すぎるくらい。

でも僕の心の方が大きくポッカリと穴が空いている。

何も出来ない。動けない。

飲みきった缶ビールを左手で強く握り潰した。

会社には休む連絡を入れた。

とにかく週末に冷静に考えよう。

僕は近くに出来たコメダ珈琲店でコーヒーを飲み、妻が残した手紙を読むことにした。

【私はウソをつかない貴方が好きでした。優しい貴方が好きでした。良きパートナーであり

良き父親でした。自助会に通いはじめてからの貴方は曇りのないクリーンな人でした。

家族にも信用され、仕事でも任される立場になって、仲間たちにも信頼されていたでしょう。

それでも、私たちは貴方から離れる事にしました。

貴方はウソをついていないかもしれないけど、大事な事を言わない癖があります。

家族にとって大事な事を相談せず自分で勝手に決めてしまう。

時が来るのを待ってしまう。その時じゃ遅いのに。

貴方のキャリアは、それで良いかも知れないけど

私は一生このままなのかと疑問を抱えたまま生きるのが辛いのです。

子供は私が育てれば、それで良いと思ってますか?

いつも帰りが遅い貴方に話したくても話せなかった私の悩み。

帰って来て会社の愚痴をまず聞かされる。

今まで相談も出来なかった。

土日は子供と遊んでほしいから、自分から時間を作らなかった反省もありますが。

でも、そういうことを抜きして自分だけが納得して、これから先暮らしていけると思いますか?

私は、もう疲れちゃいました。

貴方は自助会で、悪い部分を治し回復したつもりかも知れませんが根本的な部分は何も変わらなかったです。

20年間ありがとう。さようなら。】

思い当たるフシが有りすぎて、手紙をじっと見つめるしかなかった。

店員がいそいそと客を案内している。

僕は邪魔だろうか。

泣きそうな気持ちをこらえて会計を済ませた。

さぁ、どこに行こう。心はボロボロ。

見慣れた街並み。

自助会は、やっていない。

そっか、自助会に行っても変わらないんだった。もう考えるのを止めよう。

僕は3万円を持ってパチンコ店にむかった。もう、全然何が楽しいのか分からないが、あるアニメの台に座った。

激しいアクションをボーッと眺めた。

楽しくなかった。僕はギャンブルがしたかった訳ではなかった。

でも一番最初に足が向いた。

なんだこれ???

あ、俺ギャンブル依存症だった。

どうしようかな。

スリップ告白するかな、あ、そうだ。自助会には行っても意味ないんだった。

一瞬で頭の中がクチャクチャになった。

僕は僕にとって、やってはいけない行為をした。さぁ生きるなら止めねばならない。

でも1人では止められない。

僕はどうするべきか。

—————————————-

これは、僕が不正直に生きて、自分の問題から目を背けた時に起こりうるシチュエーションである。

不正直に生きただけで、僕に下される刑は、こんなにも重いものかと想像して書いてみた。

もう、あの頃の自分には戻りたくない。

でも一瞬で戻る方を選ぶ自分も居そうだ。

僕は生きる為に12ステップを学び実践して来たつもりだ。

もしステップの道からハズれた状態が続いたら

僕は、やはり生きられないんだってことが分かった。

私たちの依存症は治ったのではない。

霊的な状態をきちんと維持するという条件で毎日執行を猶予されているだけなのである。

ステップ10は変化に向けた行動を毎日実践するステップである。

つまり毎日の生き方の棚卸しをするステップ。

僕は今日、会社の話も自助の話も家庭内で相談していない事実に気づいた。

僕の刑が今日も猶予されるように家に帰ったら相談してみようと思う。

このブログを今日僕に起こった事と思い読み始めた方に謝ります。

ごめんなさい。まだ起こってません。

妄想の中でも底突き出来てるうちは、まだまだステップを磨けそうと気づき妄想の世界を書かせてもらいました。

悪い妄想が現実とならないように

今日も、あなたの意志がおこなわれますように。

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